身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
6、三年の歳月



 空を見上げると、ふわふわと淡いピンク色の花びらが舞う。

 青空をバックにそれは飛んでいるようにも見え、愛しい小さな天使たちが追いかけ回している光景を微笑ましく見守る。


「月ー、詩ー、転ばないように気をつけてね」


 桜の花びらが舞う春──この四月で、ふたりは三歳の誕生日を迎える。

 妊娠七か月を超えたころ、お腹の双子の赤ちゃんは男の子と女の子だと判明した。

 順調に妊娠後期を過ごし、妊娠三十九週。四月十日に無事安産でふたりを出産した。

 きょんちゃんとおばあちゃんが病院に付き添ってくれ、夕方五時半過ぎにまずは女の子を出産、間もなくして男の子を出産した。

 場合によっては、ひとり目を産んだあとに急遽ふたり目は帝王切開になる場合もあると聞いていたけれど、ふたりとも経腟分娩で産むことができた。

 先に生まれてきた女の子を詩、続いて生まれた男の子を月と命名した。

 男の子と女の子がひとりずつだとわかったときから、この名前にしようと決めていたのだ。

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