身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
7、再会は突然に



「ママー? はやくいこうよー!」

「ごめんねー、今行く」


 バッグの中に作りたてのお弁当を詰め、「よし」と忘れ物無しを確認してリュックを背負う。

 居間からお店に出ていくと、月と詩がそれぞれ自分の水筒を首からかけて待っていた。

 準備万端で靴もちゃんと履いている。


「お待たせー。じゃあ、行こうか」


 ぴょんぴょん飛び跳ね「わーい!」と喜ぶふたりを目に、スニーカーに足を突っ込む。

 店先で近所の常連さんと話し込んでいるおばあちゃんに、「ちょっと行ってきます」と声をかけた。

 桜は散り、山々は新緑の季節を迎えようとしている。

 野草も多くが可愛らしい花を咲かせる時期で、野原を歩いていると西洋タンポポはもちろん、オオイヌノフグリやヤハズエンドウなど色とりどりの小花が目に留まる。

 詩は花が好きで、二歳になった去年の春から花摘みを楽しんでいた。

 今年も春の訪れと共に花を見つけては摘んで見せてくれる。

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