身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「月、詩。おはよう」


 夢にまで見たパパと子どもたちのスリーショットに、改めてグッとくるものがある。

ふたりを受け止めた漣さんがあとから出てきた私に気づき「おはよう」と微笑んだ。


「ありがとうございます。遠いのに来ていただいて」

「何を他人行儀なこと言ってるんだ」


 足元ではふたりに抱きつかれながら、漣さんは私の頭を優しく撫でる。

 それを見上げて目撃した詩が、「うたもよしよししてー」とねだった。


「ふたりを乗せたら、荷物を取りに行く」

「はい。ありがとうございます」


 店先へ出てきたおばあちゃんに、漣さんが頭を下げる。

 子どもたちは「ばーば、またくるねー!」と元気よく手を振り、漣さんと共に車に向かった。


「忘れ物はない?」


 店先に用意しておいた荷物の最終チェックをする私へ、おばあちゃんが様子を見にくる。


「うん。大丈夫だと思う。もしなんかあったら帰ってくるし」

「簡単に帰ってくるなんて言うもんじゃないよ」

 おばあちゃんはそう言って、ふふっと笑う。


「そうじゃないよ。いつでも遊びに来るし、何かあれば駆けつけるって、そういうこと」

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