身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
──Side Ren
家族揃っての生活が始まってから初めての休日。
今日は菜々恵と子どもたちを連れ、実家へ向かっている。
菜々恵の田舎を訪れてからすぐ、両親に話があると切り出した。
俺から時間を取って話がしたいなどと言われた両親は、何事かと身構えたようだった。
これまでそんな申し出を受けたことがないからだ。
会わせたい人がいると話すときに、実は自分には子どもがいることを、どう説明しようか考えていた。
相手の気配もなかったのに、三歳になる子どもがいるなんて知ったら、恐らく両親は卒倒してしまうだろうと想像できたからだ。
三年前から遡り、菜々恵とのことを一から話した。
当時、将来を考えていた相手だったこと。
しかし、俺の言葉足らずと彼女の勘違いからすれ違い、彼女が身ごもったまま田舎でひとり子どもを出産したという事実。
その子どもたちをひとりで三年育ててくれていたことも、もちろん隠さず話した。
お互いの気持ちはあの頃と変わらないことを確かめ合ったため、改めて一緒になることを決めたと、そんな話をしていった。