身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「お言葉に甘えてそうするか?」
そう訊くと、菜々恵はどこか申し訳なさそうに俺から母親に目を向けた。
「大丈夫ですか? あの、もし何かやりましたら叱っていただけると」
「大丈夫よ。ふたりともすごくいい子じゃない。菜々恵さんの育て方がいいのね」
「いえ!」と菜々恵は謙遜したけれど、浮かんだ微笑がどこか嬉しそうに目に映った。
両親と子どもたちに見送られ、菜々恵とふたり実家をあとにする。
先に自宅マンションに戻り片付けを少しして、それから区役所に婚姻届を提出して戻ってこようという話になった。
時刻は十二時を回ったばかり。夕方まで時間があれば、部屋も全て片付くに違いない。
「ふたり、いい子にしててくれればいいのですが……」
「心配? 俺は大丈夫だと思うけど」
「はい。どちらかというと、楽しくて騒がしいかなって」
「それは逆に嬉しいと思うけどな。聞いたことあるぞ、孫の世話をすると祖父母は若返るって」
「そうなんですか?」
「ああ。今日も相当楽しみにしてたみたいだしな。だから、きっと大丈夫」
そんな話題の中、マンションに戻ってくる。
初めてふたりきりで帰宅したマンションは、やけに静かに感じられる。
普段は月と詩が元気に走り回っているから賑やかなんだと、子どもが不在のリビングでふとそんなことを思った。