身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む


「水瀬先生、ご結婚されてお子さんができてからなんか雰囲気変わりましたよね」


 思わぬ言葉をかけられ「そうか?」と目を丸くする。


「前は患者さんの話でもそんなこと言われなかったですもん。子どもを連れて待つのは大変だ~なんて」


 言われてみれば確かにそうかもしれない。

 父親という立場になってみて、これまでになかった視点で物事を見るようになっていることに気づく。


「みんな密かに言ってるんですよ。水瀬先生、柔らかくなったって。きっと奥様とお子さんと幸せな毎日を送られているからだろうって。まぁ、厳しいのはお変わりなくですけどね」


 そんな噂をされているなんて気恥ずかしいが、その通りなため何も言い返せない。

 看護師は「では、この予定で登録しておきます」と外科病棟へと去っていった。

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