身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
「佐田」
会場に入ろうとしたところで、後方から名前を呼ばれて足が止まる。
振り返ると、スクラブ白衣からスーツに着替えた遼くんの姿があった。
「遼くん、お疲れ様」
「お疲れ。ひとりか」
「うん。今少し前に来たところ。遼くんは?」
「俺も少し前に着いた。みんな中にいるぞ」
遼くんに促されて会場に入る。
同じ外科病棟のスタッフたちが集まる中に合流すると、すぐに開式の挨拶が始まった。
会長や病院長の挨拶を耳に、しっかり舞台上に視線を向ける。
現水瀬病院の会長は、水瀬先生の祖父、水瀬廉二郎。そして、東京本院の病院長は父である水瀬繁だ。
改めて水瀬先生の家系が、大病院を経営するすごい一族だというのを思い知る。