身を引くはずが、敏腕ドクターはママと双子に溢れる愛を注ぎ込む
結果、遊びだったのかもしれないけれど、好きだと言われて嬉しかった。
一緒に過ごした時間はほんの少しだったけど、私にとっては人生で初めて胸をときめかせた貴重な時間だった。
いつの間にか水瀬先生を好きになっていた。
初めてのキスも、体も許した唯一の人。
本当はもっと、この夢のような時間が続いたらいいのに。
「菜々恵……?」
名前を口にされると自分がまだ特別な存在のような気がして、胸が締め付けられる。
顔を上げると水瀬先生の真剣な目がじっと私を見つめていて、苦しい胸が激しく高鳴った。
「はい……また」
私のか細い返事を聞いた水瀬先生は、俯き加減の頭をよしよしと撫でる。
そして、「また連絡する」と言い残し、車へと乗り込んでいった。
静かに発進した車に一礼する。
『もう、今日でおしまいにしませんか』
走り去っていく車を見送りながら、結局口にできなかった言葉が木霊していた。