モナムール
「梓さん」
「……ん?」
「昨日はすみませんでした。梓さんがあまりにも可愛くて、我慢できませんでした」
「……うん」
昨夜の情事を鮮明に思い出してしまって、恥ずかしくて廻くんと目が合わせられない。
我慢できなかったって言いながらも避妊してくれていたことも知っている。
別に怒っているわけじゃないし、嫌だったわけじゃない。
むしろ……その、すごく幸せな時間だった。
「あんまり優しくできなかったから。身体痛いところとか、大丈夫ですか?」
「……それは大丈夫」
頷くと、安心したようにひとつ息を吐いていた。
「そうだ、朝ごはん食べますよね?俺作るんでここでゆっくりしててください」
「え!?いいよそんな、悪いし」
「いいからいいから」
廻くんはいつのまにか下着とデニムを履いていてベッドから立ち上がっていた。
昨夜は暗くてあまり見えなかったけれど、細いのに結構がっしりしていて筋肉質なよう。
縦筋が入った腹筋なんて、とてもセクシーだ。
目のやり場に困ってしまってまた下を向きつつ、私も慌ててベッドの下から服を取り出して身につけた。
「俺がそうしたいんです。だからここでいい子で待っててください」
ね?と頭を撫でてから私にキスを落とす廻くん。
甘い。朝から甘すぎる。
でもそのキスも頭を撫でてもらうのも嫌じゃない。
むしろどんどん胸の高鳴りが増していく。
もっとしてほしい、だなんて。そんなこと、言えないよ。
"梓さんっ……好き、大好きです"
でも、昨夜のあの廻くんの言葉を思い出したら、私も気持ちを言葉にしたくなった。