モナムール



「え……ちょ……うわ、それはずるすぎるって……」


「廻くん?」


「ほんと、ちょっと待って……なに今の。可愛すぎて心臓もたねぇよ……」



そのまま両手で顔を覆ってしまった廻くんは、動揺しているのかいつもより砕けた口調に変わっていて。



「廻くん」


「……はい」


「私、そっちの話し方の方が好き」


次の瞬間、再びベッドに押し倒されて目の前には余裕を無くした表情の廻くんがいた。
 


「……梓さん」


「……うん」


「好きです」


「私も。好きだよ。でもカクテルで口説くのはやめてね。わかりづらいから」


「……やっぱり気付いてたんだ」


「ラスティネイルを選ぶ時に思い出して。もしかしたら、って」


「……やっぱり梓さんはそういうのに詳しいですね。俺も最初は出来心だったんですけどね。伝わるといいなあって。そのうちつい楽しくなっちゃって」



花言葉ならぬ、カクテル言葉。


まさか廻くんが作ってくれたあのカクテルたちが愛の告白だったなんて。


思ってもみなかったよ。



「梓さん。……もう離すつもりないんで」


「うん。……よろしくお願いします」



お互いの愛を確かめるような優しいキスのあと。


私たちの身体は、ゆっくりと再びベッドに沈んでいくのだった。



【モナムール】 End,




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