大好きな君の観察記録

おかしな誤解を与えまいと説明すれば,混乱が直接言葉になった。



「え?」



と風に言われて。
それが正当なものにも関わらず,私まで



「え?」



と首をかしげる。

……。

コホン。



「漫画だとさ,壁ドンって王道だしやっぱりきゅんとするじゃん? でも現実だとどうなのかなって思って。だから……」

「俺に…やって,欲しい?」

「うん」



私は気恥ずかしさを隠すように,風の袖を引っ張って壁の前に来た。

風はなにかとなにかの狭間で戦っているような,そんな真剣な顔で考え込む。



「ダメかな?」



袖をくいっと引っ張って尋ねれば,風は言葉に詰まって下を向く。

だめか,と諦めた瞬間。

風が私を流し目で見た。

なに,急に…?

不覚にも,ドキリとする。

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