こいろり!
「当たり前じゃん。可愛いって思うし、笑ってくれると嬉しいし、胸もドキドキして落ち着かないし、同じ空間にいるだけでヤバイっつうかもっと触れたくなるし」
「…………」
「って、泰良どうした?顔色悪いぞ?」
「……な、なんでもねーよ」
もっと、笑った顔をみたいと願って。
可愛くて仕方なくて、胸が落ち着かなくて、もっと触れたくなるって──。
「あら、泰良おかえりなさい!!」
「………うわっ、何でいんだよ!?」
「今日はね、璃香子にお呼ばれして夕飯を食べに来たのよ!」
その日。学校から家に帰ると、華花が当たり前のように居間のコタツに座っていた。
「……あー、そう」
「昨日の夜、周が帰ってきて。本当は周も一緒だったのだけど、ママに仕事を頼まれちゃったみたいで家に帰ってしまったの!あ、璃香子はもう少しでお仕事終わるみたいよ」
長い黒髪がふわりと揺れて、華花がにっこりと俺に笑顔を向ける。嬉しそうに大きな瞳を細めて、白い頬が赤く染まっていく表情に釘付けになった。
慌てて自身の目を擦すれば、華花がキョトンと不思議そうに瞬きをする。
「どうしたのかしら?」
「……なっ、なんでもねーし!」
ヤバイ。まずい。
いつもと変わらない筈なのに、華花がすっげー可愛い。メチャクチャ可愛く見えるんだけど。
熱が上がるのと同時に、血の気が引いていくのが分かる。
なんだよ、嘘だろ?こんなの、ありえねぇ──。