こいろり!
自分の発言に気づいたのか、華花の顔がブワッと赤くなる。
「ちがっ、違うわ!あの、泰良じゃなくて、その……誰かのお嫁さんにってことよ!」
慌てて"俺と"を否定するも、華花が違う奴のお嫁さんにつーのも、それはそれでムカつくなー。と思いながらも、テーブルに手をついて立ち上がった。
「……俺、着替えてくる」
「全く、制服すぐクリーニング出せないからね~。水で叩いときなさいよぉ」
身内に微笑まれる、この異様な空気がマジで居たたまれない。母ちゃんの台詞を背中に急いで2階へ向かう。
「ったく、なんなんだよもー……」
自分の部屋に入って扉を閉めて大きな息を吐く。と、同時にその場にしゃがみ込んだ。
「…………あー。なんで、あんな可愛いんだよ」
少し前まで面倒臭いと思っていた。
あの真っ赤な華花を思い出しただけで、こっちまで頬に熱を持っていく。
華花はまだ小3なのに。生理も(多分)きてない、胸だって(見てはないけど)膨らんでない子供だ。
いや、俺だってまだ大人じゃねーけどさ。
ウガーと両手で頭をぐしゃぐしゃに抱え込んでいると、
「泰良ー、遅いわよ!お肉なくなっちゃうわよ」
ノックも無しに扉が開いた。