こいろり!
駐車場に車を止めた周が出てきて、慌てて俺と華花を引き離す。
「だから、何で泰良さまも止めないんですか?避けられるでしょう?」
「あー…、お嬢様に頼まれたんだよ。ぎゅーってしてって、脅されたっつーかさぁ」
「あなたは頼まれれば何でもやるんですか!?さぁ、もう遅いですし。帰りますよ、お嬢様」
周が俺をギッと睨み付けて、華花の背中に手を回し車へと誘導していく。
車のエンジンが静かにかかったところで、後部座席のと窓が開いて華花がひょっこり顔を出した。
「泰良、今日はお鍋楽しかったわ。お母様や璃香子にもよろしくね!」
「お、おぅ……」
「あと、あと……それとね。璃香子に、お祝いの……プレゼントをあげたいの。泰良に頼むのはちょっと申し訳ないのだけど、今度の土曜日、買い物に付き合ってくれるかしら?」
こいつ。やっぱり、俺がまだ璃香子の事を好きだと思ってやがる。
でも、その方が俺にとって都合がいいのかもしれないな。
「まぁ、予定ねーから別にいーけど」
「お嬢様、その日はお嬢様のおた……」
「周は黙って!土曜日、絶対に約束よ!」
間に入った周の言葉を遮って、華花が大きな声を出すから。家で何か特別な行事でもあるのだろうか。