こいろり!



言い方は気に入らないが、周の言い分も理解できる。



「いやー、でもさ。周も嫌だろ?俺なんかお嬢様の相手にならねーしさ。ほら、おうちに連れて帰れって」

「はい、論外です。ですが、泰良さま、ロミジュリ効果ってご存知ですか?」

「あぁん?」


「シェイクスピアのロミオとジュリエットのお話を知っていますよね?交際を親に反対された恋愛の悲劇。その恋愛に障害があればある程、それらを乗り越えようと気持ちが燃え上がってしまうんですよ。ロミジュリ効果とはその心理現象の事を指します」

「だから、反対しない……ってか?」

「私が反対したところで、お嬢様が素直に聞くとは思いません。それに、泰良さまの性行対象は主に同学年~年上と調査済みですし…」
「おい、コラ!なんの調査してんだよ!!」


どんどん低くなっていく周の声色に、どこまで調べあげられるのだろうか、と複雑な心境に陥る。



「まさか、いくら素行が悪くて野蛮な泰良さまでも、小学生相手に変な気を起こす性癖の持ち主とは思ってませんし。お嬢様に嫌われたくありませんから。私は取り返しのつかない事にならないよう監視……、いえ、温かく見守ることにしたのです」


にこりと微笑む周の後ろには、黒い影が漂っていて。なんかこえーよ。


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