こいろり!
「泰良は小さな頃、パパやママ、お兄様とキスしなかったのかしら?おうちごっこの恋人役とか、おやすみのキスとかで」
「そんなんしねーよ。気持ちわりー」
「お家で飼っていた犬とか…」
「普通しねーだろ」
「じゃぁ、本当に私がはじめてなのね!」
「しつこいし、ほっとけよ!お前が慰めてあげるって勝手にしてきたんじゃねーか。おい、こら。誰にも言うんじゃねーぞ?」
「分かったわ!2人の秘密ね!約束よ!」
いや、すでに周にも知られてるだろ。
華花がベッドにゴロン横になって、ふふっと笑う。その得意気な顔に少し苛っとしたけど。
──自分のこと好きになって貰えたら純粋に嬉しいじゃん?
昼休みの利瑛の言葉を思い出す。
チビで生意気な小学生だけど、確かに好意を持たれて悪い気はしねーな。
「つーか、お前さー勝手に寝転がるなよ…」
「あら、これは何かしら?」
華花がベッドの上にある雑誌に手を伸ばす。
それは週間漫画雑誌で、ちょうどグラビアページが開かれていた。
「女の人の水着の写真……」
「んあ?」
「た、泰良もこういうの見るのね」