こいろり!
「まぁ、ここが泰良の部屋なのね!素敵だわ!!」
「あぁ?どこが素敵なんだよ」
「だって、毎日ここで泰良が過ごしているのでしょう?このベッドの上の脱いだままのパジャマとか、床に落ちてる服とか本とか、飲みかけのジュースとか、読みかけの漫画とか雑誌とか、やりかけのゲーム!あぁ、やりたいわ!」
「いや、普通に散らかってるだけだろ?」
華花が両手を合わせて目をキラキラと部屋の中を見渡すから、コイツを部屋に入れたのは間違いだった、と後悔した。
「周は今日どうしたんだよ?」
「今日は用事でお出掛けなのよ。スマホちゃんと持ってきてるし終わったらここに来ると思うわ!」
俺がベッドに腰を下ろせば、華花も隣にちょこんと座る。
「てか、お前さー。母ちゃんに余計なこと言うなよ」
「そうだわ!泰良もう怒ってない?」
「いや、最初から怒ってはねーよ。ちょ、……ちょっと驚いただけで」
そうだ。たかが小学生にキスされただけで、俺は何うろたえてんだよ。
唇が柔らかかっただけで、気持ちなんてねーんだし。
真横にいる華花に視線を落とせば、にこにこ笑ってやがるからパッと顔を反らした。