儚く甘い
「よっ」
中途半端な挨拶になるのは、何となく気恥ずかしいから。
バイクのヘルメットを外し、待ち合わせした公園の入り口に立っているみわに、声をかける。
「よっ」
みわも気恥ずかしくて、どこを見たらいいからもわからない。
バイクのヘルメットを外した達哉も、同じように視線を泳がせたまま、二人は初めてのデートを迎えた。

あの日、じゃんけんで勝ったのはみわ。

デートの約束を取り付けていよいよ当日を迎えた。

この日のために、体調も万全に整えて来たみわの顔色は久しぶりにいい。
「行くか」
「うん」
達哉はみわにバイクのヘルメットを渡す。
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