儚く甘い
「つらかったのは、死を身近に感じたこと。」
『・・・うん』
「死んだらこのお墓に入るのかなとか、お兄ちゃんたちとお母さんは、毎年2回、お父さんと私の命日にこうしてお墓参りにくるのかなとか考えちゃった。」
『そっか』
「お母さんはいつも、お父さんのお墓の前で泣くの。きっと私が死んでも」
思わずこらえていた涙が溢れそうになり言葉につまるみわ。
『うん』
達哉の優しい声が聞こえてくる。
「こうして泣くのかなって」
『うん』
「父さんみたいに私も風になったり花を咲かせて、家族を励ませるかなとか。」
『うん』
「あれこれ考えたら悲しかった。」
『うん』
みわは、涙に邪魔されて話ができなくなる。
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