儚く甘い
~♪
急に鳴り出した携帯電話。
居酒屋でのバイトが終わった達哉は自分の部屋で、卒業研究の論文をまとめていた。

嫌な予感がしてすぐに携帯電話に飛びつく。

ディスプレイに出た名前に達哉は震えそうな手で、画面をスライドさせる。

「はい。」
『ごめんなさいね、みわの母です。遅くに・・・ごめんなさいね』
着信はみわの母からだった。

その声が震えていることにすぐに気づいた達哉は机から立ち上がり、財布を持ち、バイクへ向かう。
『みわが・・・危ないの・・・あの子・・・死んじゃうかもしれない・・・』
泣き声に代わるみわの母。
「今から行きます。」
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