儚く甘い
達哉が病院に着くと、入り口で裕介が待っていた。

「悪いな、こんな夜中に呼び出して。」
すでに何度かあったことのある二人。
裕介の姿に頭を少し下げて挨拶を簡単にすると達哉は「みわは?」と必死な表情で裕介に近づく。
「頑張ってる。今、あいつ、すごい頑張ってる。」
裕介は達哉を、みわの治療を受けている部屋へ案内した。

集中治療室と書かれた部屋には面会謝絶の札がかかっていた。
「こういう時、家族の特権だな。」
と裕介は躊躇することなく、扉を開ける。

そこには、ベッドの上でたくさんの管をつけられ、機械に囲まれているみわがいた。
ベッドを囲むようにみわの母や隆文が座っている。
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