儚く甘い
「おかえり」
「ただいま」
家に帰ると母が玄関を開けて隆文とみわを迎えた。
「疲れたでしょ。横になる?」
「大丈夫。お腹すいたー」
みわは母に明るく言うと、靴を脱いでリビングへ向かった。

本当は体がだるい。
点滴でみわの体に入れている薬はかなり強い薬で、だるさやめまいを感じることもある。
それでも、いつも点滴中も、点滴が終わってからもみわは家族に明るく振るまいつらそうな顔は見せないようにしていた。

「そういうと思って用意してあるわよ。」
母がリビングから見えるキッチンで支度を始めるのを見ながら、みわはリビングのソファに座った。
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