儚く甘い
「急だったんだ。くすりの効果が薄れて、呼吸困難を起こした。体の機能が」
「みわ」
隆文の言葉の途中で、達哉はみわの頬に触れたまま話始める。

みわしか見えていないような達哉の表情に、達哉も裕介も母も黙る。

「みわ」
優しい声。

冷たく見えるほど整った顔の達哉。

見た目とは全く違う、優しく穏やかな声に、思わず聞き入ってしまうほどだ。

「みわ。頑張れ」
数少ない言葉。
その言葉の裏にある確かな想いを誰もが感じる。
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