儚く甘い
恐怖が薄れる。

達哉はわかっているからこそ、はじめてみわに嘘をついた。

「嘘つき・・・」
泣きながら達哉の胸の中から聞こえたみわの声。

切なく笑いながら達哉は涙を流すみわを抱きしめ続けた。

やがて夕日が完全に沈み、少し肌寒くなると、達哉は自分の脱いでいた上着を脱いでみわの肩にかける。

「いつも入ってるね?」
みわと出会ってから、必ずポケットに水を入れている達哉。

「あぁ。これが習慣になってて、ないと物足りなく感じるんだ。」
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