儚く甘い
その瞳を拭う達哉。

「これが・・・」
震える声で話し出すみわ。

「これが最後のデート。」
最後まで言葉にしたみわは、顔をくしゃくしゃにして泣き始める。

「みわ」
達哉は言いたい言葉がたくさんあった。
でも、切なく泣きだすみわに、どの言葉も言えないまま、ただみわを抱きしめる。

死んでしまうかもしれない。

もしかしたら生きていても、達哉を忘れてしまうかもしれない。

記憶を失い、自分らしさも失ってしまうかもしれない。
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