儚く甘い
「点滴のたびに使って来た血管がどれもかなり弱くなっていて、CVポートを埋め込んで毎回そこから薬液を注入する方法に切り替えないとならないんだ。そのほうが点滴の効果も上がる。即効性も高まる。」
「・・・」
「みわ?」
赤信号で止まった隙にみわを見る隆文。
「そっか」
といつものように微笑むみわ。
「いつ?」
切り返しの早いみわに隆文の方が言葉に一瞬つまる。

「早ければ来週。」
「そっか。入院?」
「いや、日帰りでできる、局部麻酔だし、1時間もかからずに終わるから。」
「わかった」
あまりに簡単に飲み込むみわに違和感を覚える隆文。

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