儚く甘い
みわはやっと起こした体を、無理やり気持ちで奮い立たせながら立ち上がった。


財布と携帯電話だけを持って、通りでタクシーを拾いある場所に向かう。

タクシーの運転手もルームミラー越しに心配そうにみわの様子をうかがっていた。

愛想笑いを返しながら目的の場所につくと、みわはタクシーを降りて歩き出す。


つかまれる場所を探しては、自分の体を腕の力も使って支えて歩く。

やっとたどり着いたのは、大学の屋上だった。

もう誰もいない時間。


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