玉響なる風は、水とともに
風音、と名前を呼びながら風音に近づいた真冬に、真冬の言いたいことを感じ取った風音は「今は、作戦会議してるんだ」と微笑んだ。

「……作戦、会議……?」

「そっか……真冬ちゃんは、さっき来たばかりだものね。実は、あの巨人の居場所が分かったのよ!」

ブラウンのふわふわしたロングヘアーの女性――チェルシー・モールバラは、そう言いながら真冬の方へと顔を向ける。

「あの巨人は、ここにいる……」

机に広げられた地図を手に持っていたペンで叩いた、金髪を束ねたエイモン・ウィーズリーは、困ったように笑った。

「ここにいる、んだけど……どうやら、妖も悪霊とやらもたくさんいるみたいなんだ……」

「……悪霊が、たくさん……?」

「……あぁ。風音の言うことには、悪霊の親玉がいるみたいだな」

ツヤの言葉に、真冬は無表情で風音を見つめる。

「……ここから、場所はそんなに離れてない。これくらいの距離なら、強い悪霊なら気配を感じることが出来る……多分、悪霊の親玉は自我を持ってて、妖を操ってる……んだと思う……」

レオナードは「すげぇな!」と言いながら、風音の肩に腕を回した。それを見た葉月はムッとした表情を見せ、葉月が嫉妬しているということに気が付いたイヅナは「レオナード!」とレオナードを引き剥がす。

ヴィンセントからお叱りを受けているレオナードを横目に、真冬は「それで、作戦会議って……?」と風音たちに近づいた。
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