幸福を呼ぶ猫

僕は何も答えられなかった。

「クロ、クロ……」
ただクロの名前を呼び続けて泣き崩れた。
そのまま僕は周りの音が何一つ聞こえなくなって、そこからどうやって家に帰ったかも覚えていなかった。


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一年後。

「京介くん、私たちがはじめて出逢った日のこと覚えてる?」
唐突に彼女はそんなことを聞いてきた。
「勿論覚えてるよ。」
「私ね実はあの日よりずっと前から京介くんのこと知ってたのよ。毎日素敵な絵を描く人だなってこっそり見てたの。」
「本当に?全く気づかなかったよ。」
僕はてっきりあの日始めて僕のことを知ったのだと思っていた。

「私ね、貴方の絵に一目惚れしたの。」
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