余命宣告された君と恋をした
春樹side

今日は運動会当日。

今日も一ノ瀬と一緒に登校していた。

「はー君、大丈夫なの?」

そう一ノ瀬は心配してくれる。

「大丈夫だよ、ありがとう」

恐らく須田君や清水君はまだ何か仕掛けてくるだろう。

僕に恥をかかせるために。

それを切り抜けなくちゃいけない。

そんなことを考えているうちに学校に着く。

「はー君、一緒に頑張ろうね!」

「うん、頑張ろう」



「それでは体育祭のはじまりです」

その校長先生の一言で体育祭が始まる。

リレーは最後だ。

それまでに何かしてくる可能性もある。

用心しないといけない。

「じゃあ、私は行ってくるね」

一ノ瀬はそう言う。

「頑張って」

僕がそう言うと、一ノ瀬は笑って言った。

「頑張ってくる!」



一ノ瀬が入場門の方に行ってから数分後。

入場門から先生と生徒たちが出てくる。

生徒たちはスタートラインについた。

その中には一ノ瀬もいる。

笛が鳴り響き、一ノ瀬たちはスタートした。

一ノ瀬は一番前を走っている。

すると、最後の走るだけのところで誰かが一ノ瀬をこけさせようとした。

あぶない。

そう思い、さすがにこけるかと思ったが、一ノ瀬はよけた。

そのまま走り、一ノ瀬はゴールした。

一位の旗を掲げてこっちを見ている。

笑って。

その笑顔に安心して息を吐いた。



「はー君、一位とったよ!」

「おめでと、一ノ瀬」

戻ってきた一ノ瀬に労いの言葉をかける。

一ノ瀬は疲れていたのかすぐに座った。

僕はもう少し労いたいが時間がない。

そろそろリレーがきてしまう。

一ノ瀬みたいによけれるわけじゃないし、注意しなきゃいけない。

「じゃあ、行ってくるね」

そう言って僕は入場門に行った。



華怜side

「じゃあ、行ってくるね」

そう言って、はー君は入場門に向かっていった。

大丈夫かな。

クラスの様子がおかしかったから心配だ。

色々考えていると入場門からはー君たちが出てきた。

はー君はアンカーだ。

今のところはー君のチームの方が不利だ。

そして、はー君の番がくる。

バトンがまわると、はー君はすごい速さで走る。

「すごい……」

思わず声に出してしまった。

それぐらい速く、圧倒的な差をつけてはー君はゴールした。

「一ノ瀬、ただいま」

はー君は笑顔で戻ってきた。

今までに見たことがない笑顔で思わず胸がときめく。

「おめでとう!はー君、すごかったね!」

それを言い終わるかぐらいの時に。

急に立ち眩みがおこる。

「一ノ瀬?」

そう声をかけられても、返事ができない。

私はそのまま意識を失った。

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