君の息にピリオド.

<環・食満・艶子>(第二回)

まだ空きがある紙を二つに破り問題を写す。

今使っているペンは机からとってきたもの
ではなく、

先程の休憩時間中少し探索した時に
黒板消しの下から見つけたものだ。

今回の問題はこれ。
似たようなものを解いたことがある、
『和同開珎』だったっけ。



「簡単そうに見えるけど」

「おい、艶子は漢字得意か?」


二人の話し合いも耳に挟みながら、
思いついたものをどんどん当てはめていく。

メモのスペースがどんどん埋まっていく中、たどり出した答えに思わず掠れた笑い声が
こぼれてしまった。


この問題を作った人、
本当にいい性格をしているな。


『艶子、食満。これでいいかな』


二人が髪を靡かせ、ばっと私をみる。

目にはもう?という驚きの色が表れていた。

私もこんなに早く見つかると思っていないし、今も少し夢見心地の気分だ。

偶然だろうか、意図してだろうか。

どちらでもいいが、まさかこんなとこで
“自分の名前”が入っている問題を
解くことになるとは。
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