君の息にピリオド.

掠れたピリオド

相手はカッターよりも包丁のほうが強いと
わかっているらしく、
渡にカッターを当てたまま硬直している。

表情はマスクで隠されている。

マスクはほぼ目元まで上げられているため
誰だかは見当がつかない。

髪の毛はボサボサだが腰まである。

体格がバレにくいようだぼだぼのものを
使っているが、確信する。

共犯者はやはり女性だ。

彼女は一度ため息をつき、こう話し始めた。


「どう?渡くんが目の前で殺されそうな
今のこの気持ち。ふふ、ふふふふふ。
あは、あははははは!!!可笑しいね。

私。何でこんなことをしてるのかしら」

「…平坂はどこに―」

「あら、湊くん。久しぶり、あははははは。はは、は。はは!は」


そう高笑いする彼女。
統一されていない笑いは気味が悪いように
しか感じない。暫くたち、笑い終えて
目元を上げる彼女、まだ笑っているのか。

吊り上がり上擦った眉は「平坂」の怒った時のものとよく似ていた。


「馬鹿ね、ほんっと最悪なあなたたち。
歩は、平坂歩はもう死んだの。

人形に服やカツラを着させて、いるように
見せかけたけど、全部嘘」

「嘘よ、嘘。ね。死んでよ、どうせ
覚えていないんでしょう?あの子のこと!!

忘れさせないわ、全部、全部。
あの子のために!!!!」


そういいカッターを振り上げる共犯者。

その時、湊が私の包丁を奪い取り、
共犯者に刺そうとする。

その光景は酷きスローモーションに見えた、やばい、止められない―




その時、

放送室にある窓が、粉々に割れた。
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