君の息にピリオド.
窓にかけられたカーテンをかき分けるように入ってくる『警察』。

その後ろで、聞き慣れた、
大好きな声が私たちに語りかけた。


「みんな、助けに来たよ」



艶子、
大丈夫、いつもの、日常の中生きる艶子だ。

外は日が暮れて宵闇が差し掛かっていた。

警官の青い服の隙間から見える艶子の
長い黒髪に酷く安心して腰が抜ける。

やはり艶子が裏切るのには理由があったと
言う確信と、無事でよかったと言う安堵で…

まるでヒーローが助けに来るようなその光景に共犯者は脱力し、腕を下げた途端、

渡は急いで此方に走り寄り私に抱きついた。


「怖かった、みんな死んでなくて、
本当に、生きてる。無事でよかったあああ」

『怪我は大丈夫?渡、無事でよかったよ』


警察の目にすぐ映ったのは紗羅。

迅速な対応ですぐ救急車を呼び、私たちの
比にならない慣れた手つきで止血した。

共犯者はすぐ手錠がかけられカッターや
湊の持つ包丁はすぐに回収される。

その後すぐに紗羅は救急車に乗せられた。

弱々しく手を振りながら。

そして私たちは人数が多いため、
パトカーで病院に運ばれると言う。

危機的状況からすっかり頭から離れていた、私たちの頭には包帯が巻かれていたのだ。


止血が終わり額に汗を流す警官から、
私たちは声をかけられた。


「紗羅さんは大丈夫だよ。
急所に当たってないから後遺症も残らない。心配させないように、
声は我慢していた様子だった。
お前らのことが大好きだからだろうよ。

…お疲れさん。よく頑張ったな」
< 55 / 76 >

この作品をシェア

pagetop