君の息にピリオド.
大好きな君へ、
何年前だろうか。

まるで茹だるような、暑さの日だった。
今日もまるであの日のようで。

__今でも鮮明に思い出せるあの言葉。

それを守るため、私たちは黒い服に身を包み平坂の墓参りに来ている。

あの独白の最後、平坂の母親は刑務所内で
自殺をしたと聞いた。

…平坂と同じ、首吊りで。


『(私たちは、
本当に友人になって良かったのだろうか)』


その疑問は拭いきれず、
私たちは成人になり、全員が集まれる、
今日まで、平坂の十字架を背負ってきた。

多分これからも私たちは彼を背負い続ける。

嗚呼、無事医者になった紗羅や、
警察官になった実と湊、栄養士になった遥や消防士になった食満、心理士になった艶子、新聞記者になった渡を見て、

平坂は何と思うのだろうか。




そして、「母親」となった私を見て、
平坂はなんと声をかけるのか。



似合ってる?ぴったりだ?
いや、彼は黙って私の背中を“ポンっと”押す
だろう。

勿論、最高の笑顔で。


私達は彼を苦しめた。
でもこのままずっと、死ぬまで友人として
いられることを許してくれますか。

その返答のように涼しく心地の良い風が
吹いて―妄想だとは分かっている。

そんなことを考えてしまうのは、
今が幸せだから、
平坂が居ればおかしくなる程幸せだから。

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