追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 ヘンルーダの実家が近くにあるのなら、警戒するのも当然だ。ディオはヘンルーダによく似ているから、見つかると面倒なことになるのかもしれない……というのは、私の想像でしかないけど。
 とりとめもない会話を交わしているうちに、私たちは王宮門前に着いた。眼前には立派な建物があり、隣接して星見の塔が建っている。目の前で見る星見の塔はとても高く、見上げると首が痛くなった。

「こちらです」

 ゼクスの先導で、星見の塔の門へ向かうと、衛兵に止められた。ゼクスは胸元から三つ折りの紙を取り出して衛兵に見せ、それを確認した衛兵はサッと左右に分かれる。
 その間を抜け、塔の内部に入ると意外と広いことに驚いた。
 何十人もが、忙しそうに机に向かってなにかを書き込んでいる。来客の存在にも気付かないくらいの慌ただしさだ。

「ようこそ、みなさま」

 突然、背後から声がかかる。
 振り返ると、きちんとした身なりの美しい女性が私たちを見ていた。

「おお、アルメイダ。宮様に会いに来たのだが……」

「はい。伺っております。どうぞこちらへ」
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