追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 ズウン、と大地を震わす音がして、私とディオとスピネが揺れる。アメちゃんが殴った場所には大きな窪みが出来ていて、ほんのりと一筋白い湯気が昇っていた。

「あっ! いい感じですよ!」

「温泉が湧きそうだな!」

 ディオと私は盛り上がり、直後アメちゃんは第二波を叩きこんだ。
 覗いた窪みは先程よりも深く、じんわりと水が湧き出している。その水から徐々に湯気が出て、やがてたっぷりのお湯になった。

「で、で、出た!」

嘘のようなホントの話とはこのことか。こんなにお手軽に温泉が湧くなんて、なんのご褒美だろう。
これでマイアに「お湯に浸かりたい」アピールをされずに済むと思うと、心の底からありがたかった。

「無駄足にならなかったな」

「はい! あとは、もう少し広げてちゃんと枠を造って、整備しないといけませんね」

「よし、やるか!」

 その後、ディオと私、守護獣たちはお風呂づくりに精を出した。
 宝石で創造した大理石のプレートで浴槽を造り、簡易テントで周りを覆う。脱いだ洋服を入れる棚を設置し、フェイロンに創ったものと同種のマッサージチェアも置く。雰囲気を出すために「ゆ」と書いた暖簾も掛けた。
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