追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「おお、主殿。おそらくここが、お望みの場所だと推察する」

 スピネはトントンと大地を叩いた。

「ふうん、なんだか、掘ってくれと言わんばかりの場所よね。有毒ガスとか出たりしないかな?」

 温泉で怖いのは、硫化水素とかの有毒ガス。居住区からわりと近いところにあるので、ここで硫化水素が発生すると、大変危険である。

「我の鼻は危険な匂いを感じ取っていない。ご安心めされよ」

「そう、ありがとう。じゃあ、掘ってみようか。アメちゃん、よろしく!」

 意気込んでアメちゃんを呼んだ。
 温泉を掘るには掘削機やボーリングの機械が必要。しかし、私はそれを見たことがない。見たことがなければ、その姿をイメージ出来ないのである。そんなわけで、アメちゃんの剛腕に頼るしかなかったのだ。
 私の呼びかけに、アメちゃんは勢いよく飛び出して来た。事前に温泉を掘ると伝えてあったので、彼女はやる気満々で、腕をぶんぶん振っている。スピネが「ここだ」と教えると、その場所に近付き、渾身の力を込めて拳を振り下ろした!
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