追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 それまで流暢に質問に答えていたディオは急に黙り込んだ。ああ、彼はきっと私(聖女)が生贄にされ死ぬことを知っている。私が怖がるのを気遣って黙ってしまったのだ。

「ディオ。構いません。本当のことを言って下さい」

 生贄として殺される、その事実を思い出した時から、忘れたくてたまらなかった。
 だけど、ここグリーランドで、みんなと出会い意識が変わって来た。重い運命を背負ってしまった彼らは、それでも明日を諦めなかった。そんなグリーランドの人たちのように、私も強くありたいと思ったのだ。

「わかったよ……聖女は、生贄だ。ネビロスは聖女を生贄にして、魔王を復活させようとしている」

「生贄? いや、でも……そんな話は聞いたことがありません。文献にも残っていませんが」

「儀式には宰相、神官、国王しか参加しない。祝祭を取り仕切るそのうちの誰かに憑依し、事実を改ざんすれば問題はないと思う。祝祭のあと、誰か聖女を見たか? 力を使い果たし、神の宮にて休んでいる……そう言ったきり、姿を見ないだろう?」
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