追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「ディオ様、宮様とのあの話は、やはりそのままで?」

「構わない。約束を違えるつもりはさらさらないよ」

「なんの話ですか?」

 ふたりがとても軽妙に話しているので、私も気軽に尋ねてみた。

「ああ、グリーランド以外のファルナシオンの領地を、ソラスに委ねるって話だよ」

「へえ、そうなんで……ええ?」

 国の重大事を、そんな軽いテンションで話さないで欲しい。今晩の夕飯の話じゃないんだから、と軽くディオを睨んだ。どうやらウーノたちは知っていたらしく全然驚いていない。驚いているのは私の家族とガノンたちだ。

「ど、どうしてそういう話に?」

「この計画を立てた時からそう決めていた。俺にはいろいろ見えてしまうから、大きな国の隅々まで見るのは難しい。狭い集落で気楽に生きるのが似合っているんだ。それに、フェイロンはファルナシオンを属国でなく自治区として見守ると約束してくれた。いずれファルナシオンの中から、民に選ばれた代表者が出たら、その者に主権を譲渡するそうだ。俺の選択は間違っているかな?」

 ディオは真っ直ぐな瞳で私に問いかけた。
 確かにあのフェイロンなら、うまくやるだろう。
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