追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです

　両膝をついたオットはがっくりと頭を垂れた。「動くな、動いたら、次は頭を狙う」と凄んでいた男はどこへ行ったのか。あの時の彼とは別人のような姿に、心底驚いてしまった。でも、こうやって頭を下げてくれたのだから、快く許してあげましょう！

「いえ。みなさんお仕事ですものね。私のような不審者がいたら、警戒して当然です」

「そうだ。私たちの初期対応は間違っていない」

　オットと私の会話に口を挟んできたのは大男。彼の態度に、ディオはため息を吐き言った。

「ウーノ。たとえそうだとしても、女性に乱暴はよくないぞ」

「はあ……お頭は自分の力に頼り過ぎているのではないですか？　この女が本当に『客人』なのか、私はまだ測りかねています」

「やれやれ。お前は、本当に頑固だな。済まない、ララ。こいつのことはほっといてくれていい」

「あ、はい」

　流れで返事をしたものの、彼らがどんな理由でもめているのかがわからない。わかるのは、ウーノが私のことをよく思っていない、ということだ。

「じゃあ、今から鉱山へ行ってみよう。ウーノたちも手伝ってくれ。工具は昔ここで使っていたものがあるから、それが使えるはずだ」