追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 朗らかに言うディオに、私は頷き返した。ウーノは渋々了解し、オットとライルとサイクスは快く了解した。本当は、ひとりで行って守護獣たちに手伝ってもらった方が楽である。でも、鉱山の管理者はディオで私じゃない。ここは彼の好意に甘えておくのが最善。敵意のあるウーノに、これ以上嫌われて、内輪揉めの原因にならないようにしなくては。
 鉱山に入る準備を整えると、私たちは居住区の裏手に集合した。
 採掘跡は居住区の裏手を出て洞窟に入り、暗がりをどんどん下った先にあった。
 松明を持ったディオが、躓かないように手を握ってくれていたけど、それでも足元は覚束ない。
 すると、気を利かして出て来てくれたムーンが、夜目を使って段差や傾斜を教えてくれた。
 足をとられる心配はなくなったけど、私の背後で動向を見張るウーノの視線は未だ鋭いまま。
 まあ、喋る梟に、喋る狼、しかもドラゴンをも従える小娘なんて、私だって警戒するわ。

「この辺だ」

 ディオの声がして前方を見ると、ぽっかりと空いた空洞があった。
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