追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
 へえ、元々お嬢様だったんだ。
 そういえば気品もあるし、身のこなしも洗練されている。もしかしたら、どこかの国の貴族だったのかもしれない。なぜ山賊のお頭の母になったのか。いろいろ深い事情がありそうだけど、詮索するのも、ね。
 と考えてふと隣を見ると、ヘンルーダは目を見開き、手で口を覆い、真っ青になっていた。

「どうかしましたか? 気分でも悪いのですか?」

 自分で作ったもの(暗黒物質)を食べて当たったのかもしれない。慌てて声をかけると、低い声で彼女が言った。

「ララさん? 聞かなかったことにしてちょうだい」

「え?」

「なにも、聞いていないわよね?」

「は? え、ええ」

 ぐいぐいと詰め寄るヘンルーダは、私に確認を取ると、ほっと胸を撫で下ろした。
 聞かなかったことにって、そんなに重要な話をしていた記憶はない。
 あ、もしかして、元お嬢様だった件は、誰にも言えない秘密だったのかしら。
 私の妄想はどんどん膨らむ。
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