追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「使い方は簡単です。衣類を入れ、扉を閉め、給水ポンプの栓を捻る。こちらに洗剤を入れて、ボタンをポチっと押すだけ。あ、洗剤はこれ! 環境に優しく、よく汚れが落ちる強力なものを創造しておきました」

 はい、とグレイスに渡すと、見たこともない華やかなパッケージに目を白黒させている。

「洗濯が終わったら音が鳴るので、それで終了です。では、実際に使ってみましょう! ええと電源を……あ?」

 そうだ! すっかり忘れていたけど、動力源が、ない。ここには「電気」がないのである。
 なんでこんな根本的なことを忘れていたのか。これでは、洗濯機はただの鉄の箱。なんの役にも立たない置物だ。

「ララさん? どうしたの?」

「あ、あ、いや、あの、あはは」

 挙動不審になった私を、首を傾げてヘンルーダが覗き込む。
 恥ずかしい……居住区改革とか偉そうにほざいておきながら、使えない家電を出してしまうなんて。

「押せばいいの? じゃあ押すわよ?」

 私の様子が変なのを案じてか、心配そうにグレイスが言った。
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