追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「新しい焚き火台なら、私も料理が作れるかしら……」

「止めて下さい」

 怖いことを言いかけたヘンルーダを全員が止めた。

「あら、容赦ないわね。わかったわよ、私、お湯でも沸かしているから」

 ツーンと口を尖らせて拗ねたヘンルーダを横目に見ながら、私とマイア、グレイスは大きく安堵の息を吐いた。
 それから、解体を終わらせたディオたち解体組がキャンプに合流し、みんなで昼ご飯の準備を始める。
 今日は解体作業で狩りに行く時間が取れず、肉が足りないというので川釣りを提案してみた。小さな川が少し離れたところにある、という話は昨日グレイスから聞いていた。いくら小さくても魚くらいいるだろうと思ったのだ。
 ディオとオット、そして私は、昼ご飯の魚を調達すべく川へ向かった。川はキャンプから山の上部へと入り、高い木々の生い茂る森を抜けた場所に滔々と流れていた。川幅は狭いけれど、川底は深く流れも比較的緩やかである。これは、絶対魚がいる、と私の心は躍った。

「ララさん、この川の魚は動きが早い。みんな何度も釣り上げようとしたけど無理だった」

 恥ずかしそうにオットが言った。
< 94 / 275 >

この作品をシェア

pagetop