追放された私は、悲劇の聖女に転生したらしいです
「では、この川の魚は一度も食べてないのですか?」

「いや、罠を仕掛けて何度か……でも手間がかかるわりに、量が少ないからね」

「なるほど。効率が悪い、ということですね」

 常時二十人の食料を確保するのは大変だし、時間もかかる。のんびり釣りをしていると全員の食料を確保出来ない。
 しかし、私には道中創造した、必殺「入れ食いルアー」と「高級な釣り竿」がある。これを使えば、おそらくこの川の手ごわい魚もごっそり釣れるはずだ。

「ディオ、オット、これを使ってみて下さい」

 徐にリュックからルアーを取り出すとふたりに見せた。オットは食い入るように眺め、ディオは物珍しそうにしげしげと見た。伸縮性のある釣り竿に、色鮮やかな小魚の形のルアーは彼らの興味を引いたようだ。

「エサは?」

「要りません」

 ディオの質問に即答する。

「要らない? 本当ですか? ミミズとか虫は付けないのですか?」

「付けません」

 オットの大声の疑問にも即答で返した。

「竿にこのルアー……魚を付けて、いつものように釣ってみて下さい。あ、もうひとつディオの分も創造しますね。ルアーは何色がいいですか?」
< 95 / 275 >

この作品をシェア

pagetop