嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
お兄様と過ごしてきた時間も、もう終わるのかもしれない。そんなことを思いながら、私は残っていたパイを口に入れた。ホロっと崩れるパイの味は、よくわからなかった。
意識しないまま、私は涙を流していた。頬を伝う涙が口に入り、ようやく私は自分が泣いていることに気が付いた。
「リアリム、すまない、そんなにもショックだったか」
私の涙を見て、ディリスお兄様は私をそっと引き寄せて私の頭を胸にくっつけた。
優しいお兄様の腕の中で、私は次第に嗚咽交じりに泣き始める。うぐっ、うぐっと止まらない涙を、お兄様は黙って受け止めてくれた。
それは、お兄様との時間が終わることが悲しいのか、それとも憧れて好きだった人が王子とわかったショックなのか、よくわからなかった。
けれど、泣きながら私の髪を優しく撫でてくれるディリスお兄様という存在を、私はただ嬉しく思うのであった。
社交界シーズンの今、時折王宮においても夜会が開かれる。今夜は社交界デビューの令嬢が多く参加しているから、ウィルストン殿下は第一王子として彼女達と踊るのに忙しい。
彼が約束通り送って来たのは、一見シンプルだけれど使われている素材は高級なドレスだ。淡い桃色のプリンセスラインのドレスは、銀色の糸で蔦模様が刺繍されていた。
まるで、私に絡みつく殿下の想いを表しているようだ。もう離さない、と主張するような。
意識しないまま、私は涙を流していた。頬を伝う涙が口に入り、ようやく私は自分が泣いていることに気が付いた。
「リアリム、すまない、そんなにもショックだったか」
私の涙を見て、ディリスお兄様は私をそっと引き寄せて私の頭を胸にくっつけた。
優しいお兄様の腕の中で、私は次第に嗚咽交じりに泣き始める。うぐっ、うぐっと止まらない涙を、お兄様は黙って受け止めてくれた。
それは、お兄様との時間が終わることが悲しいのか、それとも憧れて好きだった人が王子とわかったショックなのか、よくわからなかった。
けれど、泣きながら私の髪を優しく撫でてくれるディリスお兄様という存在を、私はただ嬉しく思うのであった。
社交界シーズンの今、時折王宮においても夜会が開かれる。今夜は社交界デビューの令嬢が多く参加しているから、ウィルストン殿下は第一王子として彼女達と踊るのに忙しい。
彼が約束通り送って来たのは、一見シンプルだけれど使われている素材は高級なドレスだ。淡い桃色のプリンセスラインのドレスは、銀色の糸で蔦模様が刺繍されていた。
まるで、私に絡みつく殿下の想いを表しているようだ。もう離さない、と主張するような。