嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
そして私をぐっと引き寄せると、「あぁ、帰ろう。一緒に帰るぞ」そう言って、その場を離れさせてくれた。

ふと、目を戻すと私とお兄様の姿をみた殿下が、チャーリー様に抑えられるように止められてその場に立っているのが見えた。

 イザベラ様もどうやら誰かに連れて行かれ、着替えに行ったのだろう。既にその場にいなくなっていた。

 私はお兄様の腕をとりながら、騒ぎを起こしてしまったことを謝った。

「ごめんなさい」

 騒然とするホールを後にして、私はディリスお兄様と一緒に馬車に乗り込んだ。





「何があったんだ、リアリム。まぁ、話したくないなら、無理に話さなくてもいいが、」

 馬車に乗ると、さすがに緊張がとれてきたのかぐったりとしてしまう。

「お兄様、ごめんなさい。その、私が二人の王子殿下をたぶらかしていると言われて。いい加減、頭に来てしまって」

「だが、先にワインをかけたのは先方の方だろう。イザベラ・スコット公爵令嬢か」

「彼女を怒らせてしまったのは、私なの。私がいい加減だから」

 そうなのだ、ウィルストン王子からの求婚に、ユゥベール殿下の誘い。それぞれ二人とも注目を集める人物で、そんな目立つ二人とダンスを踊ったのは私だ。嫉妬されても仕方がない。

「リアリム、お前は悪くないよ。まぁ、ワインをかけたのはいただけないが」

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