嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「そっか、アイツのことは大好きか。そうだよな、2年間、お前は真っすぐに見ていたよな、」

 そう言って、ため息を一つ吐いた。

「だから、もう少し時間が欲しいの。気持ちが整理できるのかもしれないし、やっぱり無理ってなるかもしれないし、甘いってことは、わかっているけれど」

「そうか、わかった。お前がそういう気持ちなら、もう少し待とう。だが、あまり宙ぶらりんにすると、夕べのような事件がまた起こりかねない。そうなる前に決めるんだ。断るなら、俺はいつでもお前の味方だ。いいな」

「ありがとう、お兄様」

「よし、じゃぁ俺はもう出かけるが、リアリムは大人しく家にいるんだぞ。当分、夜会やお茶会には行くな。いいな」

「はい、お兄様。そうします、ね」

 残念だけど、自宅謹慎ということだ。社交界で死亡フラグを折った私に、今更招待も何もないだろう。

「それから、そのピアスは外すんじゃないぞ。お前を守るから、な」

「はい、わかりました」

 返事をすると、お兄様はスッと立って扉の外に出て行く。それを見送りながら、私は何ともいいようのない疑問を抱いた。

 さっき、お兄様は「兄と呼ぶな」と言っていたけれど、スッキリしない気持ちで、私はお兄様の出て行った扉を見つめる。

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