嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
「殿下、リアリム嬢が、昨日から行方不明となっています。付けていた影が襲撃され、意識を失っていたため報告が遅れたようです」

「なにっ、どういうことだ? リアリムは伯爵邸にいるハズだろう!」

 ディリスを通じて、外出しないように依頼していたのだ。あのイザベラ嬢とのやり取りを考えると、スコット公爵から何かしら仕掛けてくる可能性があった。

「ですが、昨日王宮に来ていました。ユゥベール殿下のアトリエに用事があると。その後、どうやら定期馬車に乗り、王宮を出られたようです」

「何だと! よりによって定期馬車に乗るなど」

 主に王宮で働く平民が使う定期馬車、それは王都の中心地と王宮を1日に何回も往復している。誰が乗っていたのか、そしてどこで降りたのか、足取りが掴みにくい。

「それで、どこで影は襲撃されたのだ」

「はいっ、どうやらリアリム嬢はマルーク市場の近くで馬車を降りられたそうです。後をつけていた影によると、人混みの中でリアリム嬢を攫う者がいたので救出に向かったところ、後ろから襲撃されたとのことでした」

「よりによって、マルーク市場か。それで、なぜ報告が今日になったのだ」

「はいっ、どうやらミンストン伯爵邸では、王宮からリアリム嬢の宿泊についての連絡が王宮からあったと。そのため、帰宅されなかったのですが不思議に思われなかったようです」

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