嘘つくつもりはなかったんです! お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
 俺は机をドンっと叩く。聞けば、行方がわからなくなってから既に丸1日が経っている。

「リアリム、なんということだ」

 胸が張り裂けそうになる。1日、もう1日も経っているとは。一瞬、もう既に命を失っているかもしれない、という恐ろしい考えが頭をよぎる。

「スコット公爵の方はどうだ、動きがあるか?」

 念のために、公爵家にも影を走らせていた。だが、特に変わった動きはないと言う。

「王宮からの連絡を偽装した者は、見つかったか?」

「はい、ただ、伝言ゲームのようになっているのですが、今洗っているところです」

「見つけ次第、直ちに知らせろ」

 俺は一旦自分を落ち着かせるために、水を飲もうとコップをとる。ゴクリと飲むと、少し生ぬるい。

 マルーク市場、一緒に歩いたところだ。リアリムは何を考えて、一人でそんなところに行っていたのか。

 あそこは、各地方に向かう馬車の発着場でもある。そのため、そこからの足取りを掴むことが非常に難しい。

 リアリム、無事でいてくれ。俺のことを嫌ってもいい、頼むから生きていて欲しい。

 そんな身を引き裂かれるような思いに駆られた俺は、とにかく現場の確認と思い剣を握る。

「馬を用意しろっ。あと、ディリスを呼べ」

 俺は命令を下すと、まずは最後に会っていたはずのユゥベールの所へ向かった。





「えっ、リアが攫われた?」

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